第4章 青春、時々勉強

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家に帰ると真田さんが来ていた。 「ただいま。真田さんこんばんは。今日はどうしたんですか??」 「おぉ楓くんお帰り。久しぶりに雄斗と飲もうと思ってね。遅くまで学校かい??」 「友達の家で勉強してたんですよ。一応受験生なもので。」 母と父の顔が少しひきつった。 母と父の考えなど知らない真田さんは不思議そうな顔をしながら続けた。 「受験勉強って野球推薦で庄栄に来るのに??楓くんは真面目なんだなぁ。」 「えっ!?どういうことですか??スカウトしてもらっても入試を受けないといけないんですよね??」 「まぁ確かに受験はしないといかんが、殆ど形みたいなものだよ。特待生扱いだからね。もう理事長にも了解は貰ってるからね。」 俺は一瞬ポカンとして両親に微笑みながら言った。 「どういう事か説明して戴けますかね??」 父と母はやっちまったという顔をし、真田さんは俺と両親の顔を交互に見ながら言った。 「あれ??なんかまずいこと言ったかな??」 母が苦笑いを浮かべながら口を開いた。 「確かに受験は形だけのようなものなの。テストの点数は関係なく、入学はできるわ。 ただ、クラスのみんなが受験勉強を頑張ってる時に、楓だけ進路が決まってたら浮くでしょ。 だから受験シーズンの時くらいは勉強して欲しかったの。」
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