第4章 青春、時々勉強

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父も母に続いて口を開いた。 「母さんの言う通りだ。今まであまり勉強のことには触れてこなかったが、受験シーズンくらいは勉強しないとな。 友達もみんな頑張ってるだろう??」 俺は若干怒りながら言った。 「確かにそうだけどさ、言ってくれよ!!俺今日の朝、この前のテストの成績思い出しながら本気で焦ったんだから!!」 そんな親子の口喧嘩を聞きながら真田さんが口を開いた。 「楓くん、確かに試験はどうにでもなるんだけどね、勉強はしておいた方がいいかもしれないな。」 「どうしてですか??」 「入学した後新一年生はみんな学力テストを受けるのが庄栄の決まりでね。 この前も言ったが、うちの理事長は文武両道は謳ってないんだけども、この学力テストだけは別でね。 たとえ野球推薦で入学したと言ってもこのテストだけはまずいんだ。」 「どうまずいんですか??」 「その学力テストで国語、数学、理科、社会、英語のうち、2教科が50点をきった場合、1ヶ月間勉強合宿に行かないといけないんだよ。 つまり1ヶ月間野球の練習ができないって訳だ。」 「1ヶ月ですか・・・それは厳しいですね。っていうか絶対嫌です。」 「そうだろ??高校では3年間、実際は2年半しかないから1日でも練習が出来ないのは痛い。だから入試の為ではなく、そのテストの為に勉強しといてくれ。」 「分かりました。それに両親の言う通り、僕だけ進路が決まって浮かれてたらみんなにも悪いですからね。」 『なんていい息子に育ったんだろうか。』 バカな両親は同時に思った。
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