第6章 怪童の影

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ランニングが終わるとキャッチャーボール、トスバッティングを行い、シートノックに入った。 俺は走り込みをすることにした。 グラウンドを走りながらノックの様子を伺うと夏樹と葵の二遊間、そして泰介と周都を加えたセンターラインは様になっていた。 監督もノックをしながらなかなかの手応えを感じたようである。 グラウンドを10周ほど走ったあとベンチに戻ると柊さんがいた。 「藤堂くんお疲れさま。しっかり水分とってね。」 そう言ってスポーツドリンクを渡された。 「よかったわ、藤堂くんは走るのが嫌いじゃなくて。」 「走り込みは投手の基本だと幼いころから父に言われてましたから。中学から投げるよりも走る方が多かったですね。」 柊さんは嬉しそうに俺の話を聞いていた。 「そうね。走り込みでスタミナをつけ、体を作ることから始めないと。実は藤堂くんの練習は私が見るよう監督に言われてるの。」 「柊さんが!?そうなんですか。よろしくお願いします。」 「とりあえずメニューを組んでおいたからそれに従ってちょうだい。体力作りが主なメニューだけど腐らず頑張って。」 「はい!!わかりました。」 そして柊さんは行ってしまった。 メニューを見て俺は絶句した。 「え・・・嘘だろ・・・こんな量毎日やるの?? し・・・死ぬ・・・」 柊さんは鬼だと俺は認識した。 ただこの練習メニュー、実は楓にとって最適なものだった。メニューも項目が多いだけで、回数は少なく、やってみると意外とやれるものだった。 そして楓はこの練習メニューを1ヶ月やり通した。 そして怪童の影を少しず見せていったのだ。
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