第2章 分岐点

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「神坂第一小学校からきました。藤堂楓です。よろしくお願いします。」 その日俺は神坂中学の野球部に入部した。中学生になったら野球部に入ると決めていたから、体験入部なんかせずにすぐ野球部の練習に参加した。 この日は俺を含めた3人が入部した。と言っても3人とも幼なじみの岡部夏樹(おかべなつき)と美咲周都(みさきしゅうと)だ。 この町は小さな町なので、小学生の頃から野球をする環境がなくてほとんどが中学生から本格的に始める。 そんな中俺たち3人は中学生になったら絶対野球をすると決めていたので、すぐに野球部に入部した。 ある程度自己紹介も終わり、キャッチボールが始まった。 俺たちは3人でキャッチボールをしていると顧問の先生がやってきた。 「藤堂!!お前のお父さんの名前って雄斗じゃないか?」 俺は何も知らずただそうですとだけ答えた。 顧問の先生はそうかとだけ答えてベンチに帰っていった。 俺はたいして気にもしていなかったが、この時から徐々にのしかかってきたんだ・・・して欲しくもない期待が。 10分ほどキャッチボールをしてからキャプテンから集合がかかった。 どうやらバッティング練習をするみたいだ。 俺たち1年生はバットや、ヘルメットを準備していた。その時顧問の先生が再び俺の元にやってきた。 「藤堂!!グラブを持ってちょっと俺について来てくれ。」 素直について行くと、そこはブルペンだった。 顧問の先生は急に口を開いた。 「藤堂、お前はピッチャーやってみろ。お前は左投げだし、中学1年生にしては体格もいい。なにしろ雄斗先輩の息子だからな。ピッチャーができても可笑しくない。」 俺は素直に嬉しかった。 なにせ俺が野球を始めたきっかけはあの甲子園の熱戦を見たからだ。あの時の神坂第二高校のエースみたいになりたくて、野球を始めたのだから。 俺はすぐさま了承した。 家に帰ってすぐ父さんに報告した。 父さんもすごく喜んで色々ピッチャーについて語りだした。もちろん俺もすごく嬉しかった。 あの頃の俺にはこの選択が最大のミスだったなんでこれっぽっちも頭になかったんだ・・・
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