第6章 怪童の影

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「もっと投げたい、全力で投げたいって顔になって来たわね。その調子よ楓くん。」 柊は微笑みながらその光景を見ていた。 楓のフォームの改造を言い出したのは実は柊だった。楓も父の話を聞いていたから柊を信用した。 その結果がこれだ。確実に桁違いに良くなっている。 「やっぱり楓くんは力を秘めてる。潜在能力は雄斗さんの比じゃないわ。飲み込みが早く、練習も真面目。普通なら嫌なはずの地味な基礎トレーニングもなんなくこなす。ほんとに怪童になるわこの子。」 そんなことを考えている柊はミットの音で我に返った。 「いってぇー・・・」 周都が声を漏らす。 御堂の選手、監督、梨華、は目を開いて楓を見ている。 「ナイスボール!!」 周都は嬉しそうにボールを楓に返す。 柊には何が起きたのか分からなかった。そしてその答えを楓が見せつける。
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