第6章 怪童の影

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ゆっくりと大きく振りかぶり一瞬止まると、そこから加速して斜めに伸ばした長い腕を斜め下に振り落とす。 シュッ・・・ズバーン!!! 見事にコントロールされた球が大きな音をあげてミットに収まる。 「まさかここまで化けるなんで。」 柊は呟いた。 「楓くん!!まだ全力はダメよ、少しずつ力を入れていって。」 「へっ!?まだ全然軽く投げてますよ。肩慣らし程度ですけど・・・」 あれで肩慣らし程度!?まさかこの子1ヶ月弱でここまで化けたの!? 柊が驚くのも無理はない。 本人曰く肩慣らし程度の速球が135㎞は出ている。 まだ硬球を握って1ヶ月弱の高校1年生がだ。 「すごい・・・。」 柊は呆然と立ち尽くしていた。 「監督、庄栄のあのピッチャー1年ですよね??俺よりも球速いっすよね??しかもまだ肩慣らしって・・・」 御堂のピッチャーが呟く。 「藤堂楓・・・やはり雄斗の息子だけのことはある。本物だ。末恐ろしい。」 御堂の監督ある、直木のお父さんも呟く。 「藤堂くん・・・すごい!!」 梨華も顔を真っ赤にして楓を見つめていた。
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