第6章 怪童の影

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弘人は左打席に入るとバントの構えをとった。 『バントかな。一つアウトもらっとこう。真ん中高めにストレートで。』 『了解。』 シュッ・・・ 「ランナー走った!!」 『何!?バントエンドラン!?』 キャッチャーの田辺の考えとは裏腹に弘人はバットを引きヒッティングに切り替えた。 キィーン!! 弘人の打球は一二塁間を破りヒットになった。 夏樹は俊足を飛ばして3塁へ。 「セーフ!!」 ノーアウト1、3塁。 庄栄高校先制のチャンス。迎えるのは3番友人。 『ホントに1年かよ・・・どいつもこいつも簡単に打ちやがる。』 「光司落ち着け!!内野バックホーム体制だ!!」 「おう!!」 しかし光司は落ち着きを取り戻せぬまま、友人にフォアボールを与えノーアウト満塁のピンチを迎えた。 「周都!!カッ飛ばしてこい。」 監督の言葉に周都は頷く。 『4番か・・・落ち着け光司。とにかく低めに投げて内野ゴロを打たすぞ』 『わかった。』 「満塁かー!!いいとこで回ってきたぜ!!打っちゃいますよー!!」 周都はご機嫌だ。 『内角低めにシンカーだ。』 『了解。』 シュッ・・・ 『内角低め!!絶好球!!』 ズバン・・・ストライク!! 「あれ!?シンカーか・・・」 『なんて振りしやがるこの1年・・・まともに衝突したらもっていかれるぞ・・・外角にスライダーを外そう。』 シュッ・・・ 『やばい、中に入った。』 カキーン・・・
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