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「疾風……どこから…」
日下部が、涙腺ゆるんでうるりとなり、
その場に動揺がかすかに見えた。
上を見上げると、ロープが垂れ下がっていた。
屋根には穴があいている、
赤い覆面が、動揺をけすように、
「成る程、鍵は外から開けれないように閉めたから、薄い天井に穴あけたんだね」
「―…制裁をただちにやめろ。そうすれば見逃しますよ。」
尾杉は、これが、演技なのか演技じゃないのか、わからなくて考えこむ。
警棒をブレザーの中につけていたヒルトから抜いて、ジャキンと振ってのばし、
スタスタと日下部達から少し離れて黒い覆面達の中心に行くと、
赤い覆面を見て、
「どうします?
李白瞑、元親衛隊長。今なら、俺がした事にできますよ」
「…今日は、お休みしてなくて良いの?
風見様」
赤い覆面を取って捨てると、余裕の顔で、疾風を見ている。
「前のように、全滅させますよ?」
「わたしも、学習してるんだよね。
此処にいるのは、鍛えた奴ばっか。
そんで、風見様は武器さえ奪えば、人間だからたかがしれてる。
下がるのは風見様じゃない?
負けたら、風見様がわたしの手下の弱みを握ったように、
貴方の恥ずかしい写真でもとって、ゆするよ?」
「そんなへましないんで。」
「へぇ…
まぁ、後で貴方も排除しようと思ってたんで良いけど。
傷、なおらない内にね」
軽い口調なのに、その目は、憎悪がやどっている。
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