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「でも、李白瞑を置いておくより、
さっさと退学にした方が、疾風にしたら楽だろ?
その正当な理由もあるんだし。
いつもの疾風なら、すぐにそうしたはず」
「だから? 今回のは俺の判断ミスが招いた結果だと?
そんなの俺もわかってますよ」
信一は、
ソファーに寝転んで、何でもないような口ぶりで、
「いや、
そうじゃなくて、
おまえは、わざと李白瞑に対して甘い対応になった。
なんでかは知らないけど、ちょっとでも誰かと被って
迷ったんだ」
手に持っている、李白瞑の資料を見ていた疾風は、
信一に目をうつした。
信一はソファーに寝転がっているので、顔は見えない。
「おまえが李白瞑に感じた迷いは、
さっき俺が言ったどうしようもないもの。
理事長達とは、まぁ種類は違うが思いやりの感情って奴。
おまえは左右されるのが理解出来ないとか言ってたけど、
きっちり左右されてる。
そんなおまえが、異端だとも思わない」
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