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「ちなみに、山城さんも、信一ビジョンでは巻き込まれてますよ?」
それを聞くと、
笑いを止めて真顔になり、
「それはやめてくれないか…」
「諦めてください、
こいつ友達の俺を見ても、そういう目で見ますから」
「……成る程……」
うん、ちょいショックうけてるね。
自分がそういう妄想されてるなんて、心地良くはないだろう。
三週間の資料というのは結構あるけれど、
なかなか高校生活満喫しているようで、良いじゃないか。
いつも一人で仕事をこなしてきたりしたから、皆で協力してやるというのは、
何かくすぐったい。
俺は今まで、仲間をつくらなかった。
同い年で、相手に対等かそれ以上の能力をもち、
くだけて話せる奴はなかなかいなかったから。
この学校に来て、
信一と出会って友達と呼べる者も初めて出来たくらいだし、
ほら、自分の認めた奴じゃないと相談とか出来ないだろ?
マフィアのボスの跡取りなんて肩書きは、
なかなか対等には見られないから結構孤独と言える。
それが嫌だったわけじゃないけれど、
群れるのが新鮮な感じがするから、面白い。
これを信一に言ったら「隠れマフィアの跡取りはもっと殺伐とした孤独な考えかたのがおいしい!」とか言われるだろうが、俺は普通に高校生な訳なのだから、
あいつの言う、悪者ぶる主人公にはなれませんとも。
自分を悪者にしか見えない行動や言動は、周りを動かすにも面倒だからな。
―バタン
扉が開いたかと思うと、生徒会の面々が入ってきた。
俺と信一は資料とパソコンと本棚によって向こうから見えていないようだ。
てか、今日は帰って来ないんじゃなかったのかよ?
「今日は街に行く予定じゃなかったのか?」
山城が神山会長を見ると、
「急に、行かなくて良くなったんだと」
猛をソファーに座らせながら、言う。
「ゴメンな、」
シュンとして会長を見上げる猛に、
神山会長は猛の顎をクイッとあげさせて、不敵に笑う。
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