第一章

3/3
前へ
/5ページ
次へ
幽霊なので基本的にすり抜けるのだ。 実際、東京から広島まで高速を使っても朝10時に間に合う訳がない。 しかし、その男はその不安をいっさいがっさい見せなかった。 「へい、旦那!おひさしぶっりっス」 と、夏彦に馴れ馴れしく話しかけているのは首無しライダーの陣である。 「お前相変わらず首無いな」 夏彦はそんな当たり前の言葉で返す。 「だって首無しじゃないとバイク乗れないでしょ。足や腕は要りますからね。だから自分、首から上無くしたっス」 「無くしたじゃなくて、無くなったんだろ」 と、奇妙なやり取りをしながらも並列で進む。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加