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裕兄は県内一位の秀才。
つまり高校入試など余裕なようで、300満点中、296点という点数をたたき出した。
俺も一応県内トップ10には入っているが、裕兄には及ばない。
雪は県内で平均近くなので受かるかどうかの問題だ。
裕兄には現時点で俺らでは勝てない。
「裕兄、俺らにはまだ一年あるんだよ?裕兄なんか余裕で勝てちゃうって。」
そう、明日明後日が入試なら100%勝ち目などないが、まだ一年ある。
今からなら十分可能性はある。
「広輝はもう一人の私なんだから、広輝が勝ったら私が勝ったことにもなるんだよ~♪」
「言ってること、むちゃくちゃだろ、おい。」
一応ツッコミをいれておいた。
裕兄は負けねえぞと俺に宣言し、三人で高校の話に花をさかせていた。
「そろそろ母さんの見舞に行くぞ。」
父さんは早く母さんに会いたいのか、少し興奮気味だ。
端からみたら恋人との待ち合わせにいく彼氏みたいな感じ。
さすがにオッサンがすると変態にしか見えないが……
母さんは、出産のために病院で入院中。
父さんは毎日欠かさず見舞いに行っている。
今日は学校が休みのため、父さんの一言で病院へ行くことにした。
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