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ある日の夜、モードの家で
日本の着物を着て寛ぐ二人。
ハロルドは、モードに母親の事について語った。
学生時代に寮が火事になり、ハロルドが死んだと勘違いされた事件があった。
実は、火事の前に寮を抜け出して、コッソリと家に戻っていた為、ハロルドは難を逃れていた。
ハロルドが家に戻ってきている事を知らない母親は、
寮の職員から「ハロルドの死亡連絡」を聞いた途端、
わざとらしく声を上げ、気絶して職員の腕に倒れ込んだ。
ハロルドには、そんな母親の様子が世間体の為に
「息子の死を悲しんでいるフリ」
をしているようにしか見えなかった。
「自分の死を悲しんでくれない母を見るのは、辛かった」
と語るハロルド。
その話を黙って聞いているモード。
そして、モードは自分の腕を見せる。
そこには、
ナチの強制収容所で付けられた
囚人番号の入れ墨があった。
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