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そして、長い校長の話や、たいして変わらないクラスメイトの自己紹介が終わり、下校時間に。
僕たちは帰宅部だ。
「優真、どうしたの?いつもにもまして難しい顔をして。」
「…なぁ、嵐。俺たち、なんで関係が変わらないんだろうな。」
きた。恋愛相談。
聞くのはつらいけれど、2人のため。頑張ってアドバイスして後押ししてあげなきゃ。
「ー優真、君はちゃんと和沙に気持ちを伝えた?」
「…」
「態度でわかってもらえるのはね、何十年も寄り添った熟年夫婦くらいだよ。」
「言葉にしなきゃ。」
「…ありがとう。頑張って伝えてみるよ。」
「…うん、頑張って。」
「…嵐、なんでお前はそんな顔をしてるんだ?」
「…うーん、寂しいから、かな。」
(…。寂しいのは本当かもしれないけれど、もっと違う。…昔の約束、か。)
ーーずっといっしょにいようね!!
つきり、と胸が苦しかった。
「…大丈夫、仲間はずれにはしない。」
優しく微笑む彼に微笑みかえすことはできなかった。でも。
「…うん、じゃあ先、帰ってる。」
「…悪いな、嵐。ー俺、頑張るよ。」
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