三話

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1人で帰る道。 僕は胸に鋭い痛みを感じつつ、歩いた。 ぽっ、ぽっ… 気が付くと、雨が降ってきていた。冷たくて、どんよりとした色の雫。 (まるで、僕の心のよう…) 空は人の心を写すとはよく言ったものだ。 「…っぅく…ん…ふ…っ」 我慢していた涙が零れ落ちる。 雨の中、歩きながら僕は声を抑えて泣いた。 始まってもいない恋が終わり、失恋したという現実を受け入れられるよう、気が済むまでゆっくり泣いた。 ーだんだん、空は晴れていき、僕の心も落ち着いてきた。 (よし、明日の報告を聞いたら、思いっきり茶化してやろう!!) ぎゅっと握り拳を作り、僕は家へ帰った。
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