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ー優真が帰り、病室には時計の針の音が響くだけ。
「…一年…」
義父さんは優しいから、きっと僕には言わないつもりだったんだろう。さっき来たときに僕が余命が一年だということを知っていたことに動揺していたから。
多分だけど、優真は義父さんと看護士さんの話を聞いたのだろう。
「…十分生きたよ、僕は…」
優真はきっと僕が死んだあとは悲しんでくれる。でもいつかは悲しみを越えて、和沙と幸せになるんだろう。
2人の子供と、2人の幸せな顔を見れないのは残念だけど、僕は…
「…僕の使命は果たしたよ…。2人が幸せなら、僕は…」
だんだんと冷えてくる体、動かなくなる思考。
あぁ、人間って生きる気力を無くすとすぐ死ぬっていうけど、本当なんだね…。僕は満足しちゃったんだ…。
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