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「…」
私は朝、看護士が慌てて呼びにきたので嵐の病室に駆け込んだ。
目に入って来たのは床に微笑みながら倒れ、眠るように事切れた嵐と、遺書だった。
遺書を読み終わったあと、私は音もなく泣いた。
つらかっただろう。悲しかっただろう。怖かっただろう…。あの子は自分を押し殺して、最後まで他人の幸せを考え、いなくなった。
(…どうしてあの子じゃないといけなかったんだ…)
父親が死んで、母親に捨てられ。挙げ句の果てには想い人には気持ちを伝えることができずに。
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