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「母さんもうやめろよ!」
「あんたは黙ってな!」
藍の弟が止めに入ろうとするが、
母と呼ばれた女は怒り狂った様に長い髪を振り乱しながら、藍に負けないくらいの声で叫んだ。
藍はまた立ちあがると、今度はその勢いのまま普段使っている通学鞄を乱暴に掴み、
アパートを飛び出した。
藍は、藍がまだ幼い頃に未亡人になった母親(33)と2つ下の弟と共に育てられた。
中学生にしては見た目が派手な藍は、いつも母にその事で怒られていた。弟はその点勉強も出来、大人しく目立たなかった。
しかし、家族三人のうちはまだ大きな喧嘩などなかった。
(あいつが来たせいだ…)
藍は溢れてくる涙を拭いながら、
ただひたすら夜道を走る。
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