真夜中に

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中から出てきたのは、煙草とライターだった。 「ひっくっ…はぁはぁ…」 涙を浮かべながら、それを見つめると慣れた手つきで煙草を一本取り出し、火をつける。 思いっきり煙を肺に吸い込み、溜めて、はきだす。 近くにあった壁にもたれ掛り、ズルズルと座り込む。 「………。」 少し落ち着いてきたのか、藍はもう一度煙草を口に近づけ、もう片手で鞄の中に手を突っ込む。 そして、またしても慣れた手つきで携帯電話を探し出し、 少し操作したのち自分の耳に近づける。  
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