プロローグ -女-

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女の顔は、危害を加えられたせいで乱れた長い髪に隠れていて、 表情がよくわからない。 「別れるだと。 二度と言ったら承知しねーぞ!」 (……あんたが、好きだよ。 あたしは、こんなあんたでも付いて行こうと思ってた。 ギャンブルも、暴力も許してきたじゃないさ。 でもこのうえ、浮気まで許さなきゃいけないっていうの……? もう、限界。 こんなの、拷問だよ……) 蹴った勢いでよろけて、その場にへたり込む暴力男。 女の心の声は、彼には微塵も通じていない。 「俺が相手してやらなかったら、他に生きる場所もねぇくせに。 分かったかこのブス!!」
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