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毎日毎日通る同じ道なのに、彼と一緒だとすべてが違って見えた。
街路灯の輝きも、道路に散らばった落ち葉の舞も、頬をなでていく風も――
智也を見ると、彼も私の瞳を見つめ返してくる。
鼓動が早まり、顔が赤くなるのが自分でもよくわかって、うつむく。
二人とも、何も言葉に出来なかった。でも、お互いの心は繋がっていた。
彼の腕が少しずつ、ゆっくりと動いて、私に近づく。
ドキドキと、智也に私の心臓の音が聞こえてしまわないか、心配になる。
彼の人差し指が、私の左手に触れる。そして、なぞるように他の指も……
彼は優しく私の手を包み込んだ。
もう一度、智也の顔を見る。街路灯に照らされた彼の横顔は、輝いていて、いつにも増してかっこよく見えた。
私も、彼の手をぎゅっと握り返す。
そして、どちらからともなく、声をだして笑った。
好きだよ、智也。
この手を放したくなくて、このままずっと、どこまでも歩いていきたくて――
「智也、また明日も一緒に帰ろうね」
すると智也は、やっぱりはにかんで、うんと答えた。
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