出会い

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  飲み会は俺が所属する野球サークルの花見であり、新入生の歓迎会でもあった。 去年、大声で自己紹介させられたことが懐かしい。 飲み会というものは嫌いではないのだが、集団行動はあまり得意ではなかった。 俺は靴を履き、若干ふらつくような足取りで店の階段を降りる。 外はまだ少し寒く、夜の春風が火照った俺の体をやさしく冷やす。 その心地よい気分のまま、帰りの駅とは反対のネオン街に歩を進めた。 「よっ、若大将。いい子いまっせ!」 呼び込みの男に声をかけられた俺は、ちらと店の看板を見て、特に迷うことなくその店に入った。 そういういかがわしい店によく行く訳ではないのだが、気分良く酔っていて、その時はそんな心持ちだったのかもしれない。  
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