鈴ノ崎紗月の憂鬱

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「それにしても、今日も快晴だね~」 「もう晴れはウンザリだぜ。雨降れ雨。」 この村_時亘村(トキワタリムラ)は雨が全然降らないことで有名である。 おかげで水不足…だけど夏でもあまり暑くならないから速度はゆっくりである。 ちなみに今は7月ね。 「ねぇ。」 「ん?」 「また…どこかに連れていってくれる?」 「…考えとくよ。」 「…ありがとう。」 …沈黙。 ちょっとからかってみるか。 「なぁ紗月。」 「ん、なぁに?」 「俺…俺…お前の事がずっと前から好きだったんだ!」 「…え、あ…その…」 「結婚してくれ!」 「いや、あ…その…えーと…」 紗月は顔を真っ赤にして言葉を探している。 「わ…私は16歳だからいけるけど…」 「…ばれなきゃ大丈夫だって。」 「ほ…ほんとに大丈夫かなぁ。」 アタフタしている。 「大丈夫だって。」 「…分かった。」 「…ありがとう。」 さて、ドッキリ大成功~と行くか。 「紗月!」 「は、はい!」 少し緊張しているようだ。 「…な~んちゃって。」 「…」 … 「…へ?」 「退屈だったからからかってみただけです。」 「ええ!?」 「いやー、お前のリアクションはマジで見てて面白かったぜ。」 「馬鹿ー!!」 バチーン 「うおおおお!首抜けた!絶対抜けたー!」 「馬鹿馬鹿馬鹿ー!」 連続ビンタ。 「ちょ…やめて…死ぬ…グハッ…」 「はぁ…はぁ…」 やっと…終わったか… 「ちょっとやり過ぎたね…ごめん。」 「い…いや、俺が悪かったです。」 「痛かったよね…今、手当するね。」 紗月がカバンの中をあさりだす。 「い…いや、いいです。」 「駄目だよ!きちんと手当しないと、治りが遅くなっちゃう…」 「心配性だな。」 「そんなことどうでもいいよ!あ、あった。」 紗月が薬を塗りだす。
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