1人が本棚に入れています
本棚に追加
この廃ビルは7階立てだ。
階段を疾走して5分ぐらいか…
「よし、行くか!」
俺は階段を駆け抜ける。
ボキッ
「!?」
紗月…じゃ無いよな…
単純計算になんて頼らなければよかったか?
取り合えず俺は走る速度を上げる。
「紗月ィ…お前が悪いんだぜェ…?」
「ど…どういう事…?」
「お前がッ!お前が俺をフッたからァ!俺を暗闇に落としたからァ!」
「私は!本当に好きな人としか付き合わない…」
「じゃあ…じゃあ俺の事は好きじゃ無いと言うのかッ!」
「…ええ。」
「…紗月ィ…お前は俺が怪我した時に一生懸命薬を塗ってくれたよなァ…あの時俺はお前に一目惚れしたァ…だからお前が嬉しがるような事をいっぱいしたァ!お前の好物のエビフライをお前の机に入れたのも俺だァ!」
「あ、そのエビフライ…入れる机間違えてたよ?」
「なん…だと…?」
「私の隣の席の子の机に入ってて大騒ぎになったんだ…」
「ば…馬鹿なっ!…じゃあ!ホワイトデーのチョコレートはァ!?」
「ホワイトデー?…私、その日休んでたかも…」
「ば…馬鹿なァァァァ!」
「…もう分かったよね?私は貴方から何もされてない。だから好きになる理由が無い。」
「そんなァ…」
「じゃあ、私は帰るね。また明日_」
「俺の愛と努力は認めてくれるかァ?」
「うん。私の為に色々ありがとう。」
「じゃあ!俺と付き合ってくれェ!」
「…ごめんなさい。」
「大人しく…「はい」って言えよォォォ!」
「私には…好きな人が居るの。それは貴方じゃない。」
「黙れェ黙れ黙れ黙れェ!」
「教えてあげる!その人の名前は_」
ボキッ
「え…?」
骨の砕ける音_
「俺の走る速度ぐらい…分かってるよなァ…?」
田中雅人の脚力は異常。走れば誰も追いつけないし、本気で踏まれれば人の骨くらいなら折る事ができる。
「っ…」
犯人こと田中雅人は鈴ノ崎紗月の左足を蹴っていた。
「オラァ!」
ボキッ
「う…うぅ…」
紗月の右足からも鈍い音_
両足の骨を砕かれた紗月は前に倒れた。
「俺の事を好きじゃねぇお前なんていらねェ…」
田中雅人は紗月の右手を踏み付ける。
ボキッ
「痛い…よぅ…うっ…うぅ…」
紗月は泣き出した。
「オラァ!もう一本!」
ボキッ
痛い所を押さえるのは暗示のような物だ。 何かで覆う事で安心感を持つ。
それが出来なければ_ 心の弱い者ならショック死する可能性もあるだろう。
最初のコメントを投稿しよう!