鈴ノ崎紗月の憂鬱

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この廃ビルは7階立てだ。 階段を疾走して5分ぐらいか… 「よし、行くか!」 俺は階段を駆け抜ける。 ボキッ 「!?」 紗月…じゃ無いよな… 単純計算になんて頼らなければよかったか? 取り合えず俺は走る速度を上げる。 「紗月ィ…お前が悪いんだぜェ…?」 「ど…どういう事…?」 「お前がッ!お前が俺をフッたからァ!俺を暗闇に落としたからァ!」 「私は!本当に好きな人としか付き合わない…」 「じゃあ…じゃあ俺の事は好きじゃ無いと言うのかッ!」 「…ええ。」 「…紗月ィ…お前は俺が怪我した時に一生懸命薬を塗ってくれたよなァ…あの時俺はお前に一目惚れしたァ…だからお前が嬉しがるような事をいっぱいしたァ!お前の好物のエビフライをお前の机に入れたのも俺だァ!」 「あ、そのエビフライ…入れる机間違えてたよ?」 「なん…だと…?」 「私の隣の席の子の机に入ってて大騒ぎになったんだ…」 「ば…馬鹿なっ!…じゃあ!ホワイトデーのチョコレートはァ!?」 「ホワイトデー?…私、その日休んでたかも…」 「ば…馬鹿なァァァァ!」 「…もう分かったよね?私は貴方から何もされてない。だから好きになる理由が無い。」 「そんなァ…」 「じゃあ、私は帰るね。また明日_」 「俺の愛と努力は認めてくれるかァ?」 「うん。私の為に色々ありがとう。」 「じゃあ!俺と付き合ってくれェ!」 「…ごめんなさい。」 「大人しく…「はい」って言えよォォォ!」 「私には…好きな人が居るの。それは貴方じゃない。」 「黙れェ黙れ黙れ黙れェ!」 「教えてあげる!その人の名前は_」 ボキッ 「え…?」 骨の砕ける音_ 「俺の走る速度ぐらい…分かってるよなァ…?」 田中雅人の脚力は異常。走れば誰も追いつけないし、本気で踏まれれば人の骨くらいなら折る事ができる。 「っ…」 犯人こと田中雅人は鈴ノ崎紗月の左足を蹴っていた。 「オラァ!」 ボキッ 「う…うぅ…」 紗月の右足からも鈍い音_ 両足の骨を砕かれた紗月は前に倒れた。 「俺の事を好きじゃねぇお前なんていらねェ…」 田中雅人は紗月の右手を踏み付ける。 ボキッ 「痛い…よぅ…うっ…うぅ…」 紗月は泣き出した。 「オラァ!もう一本!」 ボキッ 痛い所を押さえるのは暗示のような物だ。 何かで覆う事で安心感を持つ。 それが出来なければ_ 心の弱い者ならショック死する可能性もあるだろう。
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