鈴ノ崎紗月の憂鬱

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午前7時55分 紗月病室前 トントン 「どうぞー。」 ガラガラ あれ、谷澤先輩… 「よ…よう。」 「…」 紗月は目を逸らしてきた。 「さっきはごめんね…」 「いや、俺の方こそ…ごめん。」 「ううん、悪いのは私だから。」 「いや、俺があんな事言ったから…」 「ふふ…」 「谷澤先輩…?」 「いえ、いつもいつもイチャイチャしてるなーと思いまして。」 谷澤先輩は誰に対しても敬語で話してくる。 学校ではいつも舞ちゃんと一緒に居るからか、美人姉妹の異名を持っている。 舞ちゃんが子供の可愛さなら谷澤先輩は大人の美しさと言うのだろうか… え、容姿? 仕方ないな。 髪は黒(本人曰く若干藍色に染めているらしい。)で長さは肩ぐらい。 大人の美しさを持つ抜目ない性格だ。 弱点、隙が全くと言って良いほど無い。 「イチャイチャなんてしてませんって…」 「あらら。断固拒否されちゃいましたね。」 谷澤先輩は笑顔で紗月の方を見ている。 「え、あ、いや…」 紗月が慌てている。 「それにしても奇遇だな~。私、貴方に話があったんです。」 「え、俺に?」 「はい。少し見ていてください。」 そう言って谷澤先輩は紗月に人差し指と中指で触れる。 途端、紗月の体がパーツごとにバラバラになった。 「!?」 「いけませんねぇ。運命を覆しては。」
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