1人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし俺は卑怯な奴だ。
こんなに簡単に人を騙すのだから_
「なーんちゃって。」
俺は谷澤先輩の腹を思いっきり殴った。
「!?」
谷澤先輩は腹を押さえて突っ伏する。
「谷澤先輩には弱点も隙も無いと思ってたんですけどねぇ。」
「私も…人ですから…」
谷澤先輩が少し潤んだ目で引き攣った笑みを浮かべている。
「それにしても…素晴らしい作戦を立てましたね…見事引っ掛かりました…」
「ははっ。…俺が何回紗月の死体を見てきたか…ご存知無いですよね。」
「…9回…ですかね。」
「!?」
「その様子だと…図星のようですね…」
「…何故分かったんですか。」
「…知らないようなので…教えてあげますね。あなたが戻しているのは…この世の地盤以外です…」
「…といいますと?」
「つまり…もういいです。私も分からなくなってきましたから。_とにかく、貴方では私は戻せない…私は貴方に一度も戻されていない存在なのです。…何故かは分かりませんが。」
…マジでややこしい。
「…時を戻して彼女を助けてあげてください。」
「言われなくても。」
「あ、最後に一つ…」
「…何ですか。」
「私は昨日の夜から谷澤から花澤になりました。」
「…先輩も辛い人生を送っているんですね。」
そして俺は過去へ_
最初のコメントを投稿しよう!