1人が本棚に入れています
本棚に追加
~時を戻す事30分~
目の前で谷澤_じゃなくて花澤先輩が紗月に触れようとしていた。
「ちょっと待ってください。」
花澤先輩はフッと笑う。
「…それでいいのですよ。」
途端、花澤先輩の口から一筋の鮮血が流れた。
「谷澤先輩!?」
紗月が言う。
「鈴ノ崎さん。私は昨日の夜から花澤になりました。」
「あ、え…すいません。」
「いえ、いいのです。貴方は知らなかったのですから。」
「それより、血が…」
紗月が心配そうな目で花澤先輩を見ている。
手が動かせたら直ちに行動を起こしていただろう。
「私は大丈夫です。リハビリはきついですが…頑張ってくださいね。…では。」
そう言って花澤先輩は病室を出て行った。
病室の外から ゲホッゲホッ… 大丈夫ですか!? というやり取りが聞こえてくる。
「花澤先輩…大丈夫かなぁ。」
「…大丈夫だろ。」
「…何を根拠に言ってるの?」
「いや…あの人は凄い人だから。」
「…そうだね。」
キャー!血を吐いてますよ!?
「…大丈夫かなぁ。」
不思議な人である。
それより、本当に体に負担があるようだ。
これからはできるだけ力を使わずに行きたいな。
最初のコメントを投稿しよう!