鈴ノ崎紗月の憂鬱

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「あら。アンタがこんなに早く起きるなんて。雨でも降るんじゃないかしら。」 「バーロー。俺だって早く起きる時ぐらいあるわ。」 テレビが付いている。 『私は、正義の味方!ドキュンマン!』 ドキュンマン_ 全国ネットで放送している国民的アニメ(子供向け)のタイトルである。 仮面にD、服にQ、手袋と靴にNの文字が書いてあるのが特徴だ。 一人で悪と立ち向かうという少し変わった物だからか、一部の大人にも人気があるらしい。 …俺から見れば自ら正義を名乗ってる時点でアウト。 正義かどうかを決めるのは周りであって自分ではない。 という訳で。 ピッ 「あ!母さん見てたのに。」 「テストの時事問題にドキュンマンはでません。」 「子供たちはニュースなんて見てないじゃない…あぁ、また置いていかれる…」 母さんは幼稚園の先生をしている。 だから話の輪に入る為にアニメをよく見ているのだ。 『事件です。』 お、今日のアナウンサーはハッキリ言い過ぎで話題の関口さんか。 『死体が発見されました。グロテスクです。』 …いつクビになるか心配である。 「はぁ。毎日毎日事件事件…よく飽きないねぇ。」 「違う人がやってるからな。」 俺は食パン片手に新聞とニュースを交互に見ている。 「それじゃ、母さん仕事だから。ちゃんと紗月ちゃんを連れて行くのよ?」 「わーってるって。 いってらっしゃい。」 「行ってきまーす。」 ガチャ 母さんが出ていった。 ってかニー父さん(ニートと父さんを掛けている)の飯には色々おかずがあるのに俺は食パン一枚かよ… ま、いいけど。 んじゃ、着替えてゆっくりするか。
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