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「ほら、急ぐよ」 私の意識を戻したのは亮太くんの声と温かい手だった。 「早く食べないと集合時間に遅れる」 そう言って私の手を引っ張る横顔は……あ!海斗先輩に似てるって思った理由が分かった。 "お兄ちゃん"みたいなんだ。 勝手に納得してると、彼が首をかしげながらこっちを見ていた。 「笑ったり、怒ったり、落ち込んだり、にやけたり、忙しいやつだな」 私って単純だから、たとえ亮太くんが意地悪な人でも、今感じる気まぐれな優しさが嬉しい。 私の思い込みでも、左手から感じる体温は優しさを感じるから。
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