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寮の前まで帰ってきた頃にはすっかり日も落ち、大きな木の陰になっている入り口は表情もぼんやりとしか見えない。
本屋の前からひと言も交わされないままの会話が気まずくて、さよならをどうやって切り出していいのかわからないまま沈黙の時間だけが流れる。
「今日、楽しかった?」
唐突に投げかけられた質問。
楽しくなかったと言えば、それは嘘になる。
だけど……。
「沈黙はいい返事だとして受け取っておくよ」
ずっと繋いだままの左手が熱い。
その熱をそのままに、ぐっと引き寄せられて、肩を掴まれた。
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