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やめて、と言う間もなく、頬に唇がそっと触れる。
「じゃあね、紗奈。また明日」
すべての力と熱が体から一緒に奪い去られたみたいで、私はそこに立ち尽くし、彼の後姿を見送ることしかできなかった。
その夜、私は携帯電話を片手にベッドに寝転んでいた。
『あれは誤解なんです』?
『亮太くんとは何でもないんです』?
そうメールを打とうとして、送れずにいる。
でもホントは、先生からのメールを待っていた。
妬いて欲しいというこの歪んだ気持ちもまた、私が子供だからなのかな。
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