①‐6

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やめて、と言う間もなく、頬に唇がそっと触れる。 「じゃあね、紗奈。また明日」 すべての力と熱が体から一緒に奪い去られたみたいで、私はそこに立ち尽くし、彼の後姿を見送ることしかできなかった。 その夜、私は携帯電話を片手にベッドに寝転んでいた。 『あれは誤解なんです』? 『亮太くんとは何でもないんです』? そうメールを打とうとして、送れずにいる。 でもホントは、先生からのメールを待っていた。 妬いて欲しいというこの歪んだ気持ちもまた、私が子供だからなのかな。
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