①‐7

5/19
前へ
/363ページ
次へ
「ん?なんだよ?今日の紗奈は甘えんぼだな」 大きな手が私の髪を乱す。 カチっとコーヒーメーカーのスイッチが入れられて、先生はやっと私の方を向いてくれた。 久しぶりに近くで目を合わせると、なんかすっごい恥ずかしい。 「え?ちょっと紗奈、なんで照れるのかわからんって」 笑いながらも優しく触れる唇に、私の頬はもっと熱くなる。 抱き寄せられると、ここがどこなのか、今が何時なのか、何もわからなくなる。 音も全部なくなって、速くなる鼓動が体中の力と思考力を奪って、私は先生に身を預けた。
/363ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2267人が本棚に入れています
本棚に追加