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「あ、裕子先生」
書類を抱えて入ってきたのは裕子先生だった。
重そうな上に、崩れ落ちそうな紙の束だったので、私は駆け寄って先生の手から書類を半分受け取る。
「ありがとう!
紗奈ちゃん独り?樹くんどっか行っちゃったの?」
「さっき放送で呼び出されて職員室に……」
裕子先生は近くの机に書類を置いて、ふうっとため息をつく。
「そっか、印刷室にいたから聞こえなかったんだ」
そう言って私に笑いかける先生はすごく綺麗で、髪をかき上げた時、その白く細い手に指輪がきらりと光る。
「でもすぐに戻るって言ってましたよ」
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