①‐7

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私のことが心配? 首をかしげる私に、裕子先生は優しく微笑んで言葉を続ける。 「私が紗奈ちゃんの立場だったら苦しいだろうなって思うから。 その気持ちは本物なのに、後ろめたい気持ちがずっと心のどこかにあるなんて、きっと苦しい」 泣いてしまいそうだった。 その言葉が優しすぎて。 「裕子せんせ……ありがとうございます」 「お礼を言われることなんてしてないよ。 何か聞きたいこととかない?私が答えられる範囲で」 いたずらっぽく笑うその表情は、少し、いっき先生と似てる。 そう思うと肩の力が抜けていくのを感じた。
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