①‐7

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その話を先生も思い出したらしく、急いで鞄や上着の支度を始めた。 「ちょっと樹くん、私も用事あったんだけど」 「なに?」 ネクタイを締め直し、白衣からジャケットに着替えた先生に私はちょっとドキドキする。 裕子先生は紙の束を指差しているだけで、言葉は発さなかった。 「わかった。詳細は明日聞く。 だから、2人とも部屋出てくれ」 何だかバタバタと追い出されて、準備室には鍵がかけられる。 「紗奈ごめんな」 よっぽど急ぎの用事なんだろう。 ちょっと寂しいけど仕方ないから、私は笑顔でうなずいた。
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