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亮太くん……?
彼であることは分かるけど、表情まではうまく読み取れない。
彼は車の中の人と話しているのだろうか、時々うなずいている。
私は千尋の手を取って、彼から見えにくい角度で近づくことにした。
千尋は一瞬戸惑って、でも何も言わずに私の後を静かに着いて来てくれる。
私たちは話が聞こえるくらいに近づいて、電柱の影にそっと身を潜めた。
「やっぱり家まで送るって」
「いえ、大丈夫です」
「……そうか」
そうか、と少し悲しげに言う声は間違いなく先生の声だった。
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