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放課後、何となく図書室に寄って、本を読んでいたら日が暮れ始めていた。 片付けて帰ろうとしたら、図書室を出てすぐのところで亮太くんが歩いているのに気付く。 朝の少し元気がない表情を思い出して、躊躇いつつも声をかけた。 「こんにちは」 「あれ?今帰り?」 「図書室にいたので」 彼はふぅん、と言って少し黙ってから、急に私の方に向き直った。 「あ、そうだ。いっき先生に頼まれてたことがあるんだ。手伝ってくれない?」 「え?あ、はい。別にいいですけど」 下校の放送が流れていたのが気になったけど、大して疑いもせず、私は彼の後ろについて歩きだした。
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