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ゆっくりと近づいてくる彼の手は、上手く私の両手を掴んで動きを封じる。
「今日は会議だったはずだから、あと1時間はここに戻ってこない」
「……何が目的なの?」
私がそう聞くと、彼はふっと微笑んだ。
「別に紗奈をどうこうしたいわけじゃない」
その言葉に背筋がぞくっとする。
「じゃあ何がしたいの?」
「ただ、紗奈と先生が別れてくれればいい」
どうしてそんなことを望んでいるのか、
それがここに閉じ込められることと何の関係があるのか、
まったく分からずに彼の様子を窺った。
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