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どうしてこの人はこんなに楽しそうに……こんなに寂しそうに笑っているんだろう。
「亮太くん、何か理由があるんでしょ?」
私がそう尋ねたら、さらに悲しい顔で笑う。
いじわるだけど、本当は……。
沈黙が続く中で、身動きが取れない私は、彼の後ろの窓の外がだんだん暗くなっていくのを静かに眺めた。
どれくらいの時間が経ったんだろう。
彼は腕時計で時間を確認した後、突然、私の頬に触れた。
「紗奈、知ってる?男ってかなり嫉妬深いんだよ」
そう言いながら、ぐっと私を引き寄せて、首筋に顔を寄せる。
「ここから出るには先生に助けを求めるしかない。
だけど、こんなところに男と2人きりだったこと、先生がどう思うかな?」
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