①‐8

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耳元で囁かれる声の響きと、その内容に体が緊張する。 「先生は妬いたりしない」 「そんなことないよ。 でも、もしそうだとしても妬かせるだけ」 首筋に熱が伝わる。 ぐっと押さえ込まれていて身をよじることもできない。 熱くて痛いその感覚に、現実感が少しずつ遠ざかる。 先生、助けて……。 足音が聞こえてきて、私の体は彼の重みから急に解放された。 「そろそろかな」 そうつぶやいて、ドアの方へと歩いて行く彼は、新しいおもちゃをもらった子供のようだった。
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