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さっさと立ち去る亮太くんの後ろについてこのままここを去ることも、先生のそばに行くことも出来ずに、助けを求めるような視線を先生に向ける。
先生は何も言わず私に近づいて、ぐっと手を引いた。
そして、首筋にその唇が触れる寸前で、ピタリと止まった。
「……せんせ?」
手が離され、体温も遠ざかる。
「もう遅いから帰りなさい」
準備室から漏れる光の中で先生は、'先生の顔'をしていた。
抱きしめてももらえない。
キスも。
ここにいた理由も問いただされない。
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