①‐8

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聞かれても上手く答えられないのに、聞かれないのが嫌だなんて。 妬いたりしないって言ったのに、妬いてくれないと嫌だなんて。 矛盾してる。 ……亮太くん、やっぱり先生は嫉妬なんてしなかったよ。 私は小さくお辞儀をして、何も言わずに学校を出た。 追いかけてくれるかもしれない、なんて、またこうやって期待する私がとても卑しくて惨めな人間に思えた。 「先生なんか言ってた?」 学校を出たところで、私を待っていたのは亮太くんだった。 「別に、何も」 そう、と短く言う彼に苛立ちが募る。
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