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鍵は開いていた。
息を殺して外へ出ると、うす雲が棚引いている淡い空と心地よい風、そして、フェンスにもたれかかっている人影があった。
亮太くん?
彼は何かを深く考え込んでいて、私には気付いていないようだ。
それに……泣いているみたいに見えた。
「亮太くん」
声をかけずにはいられなくて、遠慮がちに呼んだ名前。
ゆっくりと顔を上げた彼は泣いていなかったけど、上手く現実に戻れない虚ろな目が私という存在を曖昧に捉えるだけで、気配も音も何も感じない。
私は彼に歩み寄って、視線を合わせた。
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