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「珍しいね。さぼり?」
「あ、はい、ちょっと」
「授業なんて受けても仕方ないよな」
投げやりな言葉と覇気のない態度はとても違和感がある。
彼は、次の言葉を待つ私の目をゆっくりと覗き込んで、力なく微笑んだ。
「授業でなんて教えてくれないこととか、自分じゃどうしようもないこととかってたくさんあるんだ」
やっぱり彼は声もなく、涙もなく、泣いているみたい。
いつものように左手をぐっと引かれたけど、上手く抵抗することができなかった。
その手から感じる力がとても弱かったにも関わらず、私はそのまま彼の腕の中におさまって、綺麗な髪の後ろに見える空をただ眺めていた。
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