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彼はとても頭が良くて、とても綺麗で、とても……まっすぐで、不器用な人なのかもしれない。
「ねえ、亮太くん。あの約束、やっぱりあれじゃないといけない?」
彼が望んでることって、本当はそういうことじゃないと思うから。
ゆっくりと顔を上げた彼は、もういつもの表情だった。
「だめだよ。色々と考えたんだけど、それが1番なんだ。紗奈と先生が別れるには」
「え?」
「紗奈は先生を守るために、俺に抱かれる。それだけのことだよ」
彼は私の体を離して、携帯電話の中の写真をもう一度私に見せた。
言葉の意味が理解できないのは、私の理解力が足りないせいかな。
ただ、写真の中の私は、今の私よりずっと幸せそうだった。
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