①‐10

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寮に戻った私は、夕食を食べることもできなかったし、合宿の準備するにも集中してないせいで、何が必要なのかまったくわからなかった。 ただ、机に置いた携帯電話が鳴る瞬間が怖くて仕方なかった。 怖い? そんなはずはないのに。 先生のこと、大好きだから。 こんな気持ちじゃなくて、もっと純粋に、先生に近づけること、一緒にいれることを喜びたかった。 窓の外、外灯に照らされて丸く切り取られた地面は、夜の闇に浮かぶ小さな島のよう。 私もそんな風に孤立した島の上に立っているような気がする……不安で、不安で、寒くもないのに少し震えて。
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