①‐10

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ガタガタガタガタ…… 机に置いた携帯が振動したのは、夜9時を回ってからだった。 メールには、近くのバス停の名前が示され、10分後にそこに迎えにいくという内容が書かれている。 私は鏡の前で1度だけ、笑顔をの練習をしてから部屋を出た。 それはとても笑顔と呼べるものじゃなかったけど、迷いのない目をしていた自分には少し励まされた。 この時間になると、バス停付近は猫1匹もいないほど静かで、車のエンジンの音がやけに大きく響く。 ハザードランプを点けて止まっている車に、私は迷わず早足で近づくと、助手席のドアを開けた。
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