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トントン
理由のわからない不安を感じながら短いノックをする。
「はーい」
中から間延びした声が返って、私は真由ちゃんより1歩先に準備室に足を踏み入れた。
「失礼します」
「あ、紗奈。あのさ――」
真由ちゃんの存在に気付き遅れた先生は、一瞬だけフリーズする。
「先生、あの、課題を集めてきました」
「おお、宮田。ご苦労様」
真由ちゃんが緊張してるってこと、私にもわかる。
遠慮がちに差し出された紙の束を先生は受け取って、優しく笑った。
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