①‐2

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私はその事態がうまく飲み込めずに、固まったまま彼を見上げる。 細くて綺麗な指先が髪の間を滑るように通り抜けた。 「糸屑が髪に付いてたよ」 「え?……あ、ありがとうございます」 ダメだダメだ。 ついつい見とれちゃってた。 永崎先輩の動きってなんか1つずつが綺麗だな。 「藍原。帰るぞ」 また少しぼーっとしてたから、澤田くんの言葉への反応が少し遅れてしまう。 「あ、うん、わかった」 私は彼にペコリとお辞儀をしてから、バッグを手に取って澤田くんの背中を追いかけた。
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