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私はその事態がうまく飲み込めずに、固まったまま彼を見上げる。
細くて綺麗な指先が髪の間を滑るように通り抜けた。
「糸屑が髪に付いてたよ」
「え?……あ、ありがとうございます」
ダメだダメだ。
ついつい見とれちゃってた。
永崎先輩の動きってなんか1つずつが綺麗だな。
「藍原。帰るぞ」
また少しぼーっとしてたから、澤田くんの言葉への反応が少し遅れてしまう。
「あ、うん、わかった」
私は彼にペコリとお辞儀をしてから、バッグを手に取って澤田くんの背中を追いかけた。
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