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その風でたくさんの花びらが目の前を通り過ぎて、近くの机の上や床に散らばる。 振り返るとそこにいたのは永崎先輩で、私を見つめるのその目に理由の分からない胸騒ぎがした。 「藍原さん、今来たの?」 「えっと、ちょっと前に」 そう、と短く返された言葉が、"さっきまでどこにいたか知ってる"って言ってるような気がした。 どうしてだろう。 さっき会った時と雰囲気が違うように感じる。 視線も言葉も……針みたいだ。 そう直感的に思った。
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